このページでわかること
- ✅ 残業代計算式(基礎賃金算出→時間単価→割増率の3ステップ)
- ✅ 割増率全パターン(時間外25% / 深夜25% / 休日35% / 月60h超50% / 深夜+月60h超75% / 休日+深夜60%)
- ✅ 除外手当7種類(労基法施行規則21条・名称でなく実態で判断)
- ✅ 時効3年・内容証明による請求手順・付加金(最大2倍)の仕組み
- ✅ 簡易計算ウィジェットで素早く試算
- ✅ 弁護士相談・残業代計算ツールへの導線
残業代の計算方法|基礎賃金・割増率・請求手順を完全解説
基礎賃金の定義・割増率の全パターン(労基法37条)・除外手当の見分け方・未払い請求の具体的手順まで。簡易計算ウィジェットで手順を確認できます。
こんな方向け:残業代が正しく払われているか確認したい方・未払い残業代を請求したい方・給与計算を担当する方
残業代の計算式(3ステップ)
月所定労働時間 = 年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12
| 残業の種類 | 割増率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 時間外(月60時間以内) | ×1.25(25%割増) | 労基法37条1項 |
| 時間外(月60時間超) | ×1.50(50%割増) | 労基法37条1項ただし書(2023年4月〜中小にも適用) |
| 深夜労働(22時〜翌5時)のみ | +0.25加算(25%割増) | 労基法37条4項 |
| 法定休日出勤 | ×1.35(35%割増) | 労基法37条1項 |
| 深夜+時間外(月60h以内) | ×1.50(50%割増) | 25%+25%加算 |
| 深夜+月60時間超の時間外 | ×1.75(75%割増) | 50%+25%加算 |
| 法定休日+深夜 | ×1.60(60%割増) | 35%+25%加算 |
深夜割増は他の割増に上乗せで加算されます。複数の要件が重なる場合は各割増率を合計してください。
労働基準法37条(e-Gov) 厚労省・月60時間超の割増賃金率引上げ(PDF)1分単位が原則。1ヶ月の合計で30分未満の端数処理のみ許容(行政解釈)。
基礎賃金から除外できる手当(7種類)
月給すべてが残業代の計算ベースになるわけではありません。労働基準法施行規則第21条に定める以下の7種類は除外できます。ただし「名称」ではなく「支給実態」で判断されます。
| 除外できる手当 | 除外できる条件・注意点 |
|---|---|
| ① 家族手当 | 扶養家族数に応じた金額のみ。全員一律支給は除外不可 |
| ② 通勤手当 | 通勤実費相当のみ。全員一律支給は除外不可 |
| ③ 別居手当 | 単身赴任等の別居実態がある者への手当 |
| ④ 子女教育手当 | 扶養する子の教育費補助(子どもの人数・学費に応じた金額) |
| ⑤ 住宅手当 | 住宅費用に応じた金額のみ。全員一律・定額支給は除外不可 |
| ⑥ 臨時に支払われた賃金 | 慶弔見舞金・特別賞与等。定期支給されるものは除外不可 |
| ⑦ 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金 | 年2〜3回の賞与等。年4回以上の支給は除外不可(最高裁判例) |
職務手当・資格手当・役職手当・精皆勤手当などは除外対象外のため、基礎賃金に含めて計算が必要です。
労働基準法施行規則21条(e-Gov)計算例(具体的なケース別)
ケース1:月給25万円・月40時間残業(うち10時間深夜)の場合
条件:月給25万円(通勤手当1万円含む)、所定労働時間160h/月、時間外残業40時間(うち深夜22時以降10時間)
- 基礎賃金:250,000 − 10,000(通勤手当)= 240,000円
- 基礎時給:240,000 ÷ 160 = 1,500円
- 通常時間外(30h):1,500 × 1.25 × 30 = 56,250円
- 深夜+時間外(10h):1,500 × 1.50 × 10 = 22,500円
- 合計残業代 = 78,750円
ケース2:月給30万円・月70時間残業(月60時間超10時間含む)の場合
条件:月給30万円(基礎賃金のみ)、所定労働時間160h/月、時間外70時間(月60h以内60時間+月60h超10時間)
- 基礎時給:300,000 ÷ 160 = 1,875円
- 月60h以内(60h):1,875 × 1.25 × 60 = 140,625円
- 月60h超(10h):1,875 × 1.50 × 10 = 28,125円
- 合計残業代 = 168,750円
ケース3:法定休日出勤+深夜の場合
条件:基礎時給1,500円・法定休日に10時間出勤(うち2時間は22時以降の深夜)
- 法定休日通常時間帯(8h):1,500 × 1.35 × 8 = 16,200円
- 法定休日+深夜(2h):1,500 × 1.60 × 2 = 4,800円
- 合計 = 21,000円
簡易計算ウィジェット
月給・残業時間を入力して大まかな残業代を試算できます。詳細計算は残業代計算ツールをご利用ください。
通勤手当・家族手当等の除外手当を引いた後の金額を入力してください
年間所定日数 × 1日の所定時間 ÷ 12 で計算(例:240日×8h÷12=160h)
1.25倍で計算します
1.50倍で計算します(中小企業も2023年4月〜適用)
時間外の深夜は合計1.50倍(25%+25%)で計算します
1.35倍で計算します(深夜重複分は別途1.60倍)
計算結果(概算)
詳細計算(休日深夜60%・みなし残業の超過分等)は残業代計算ツールでご確認ください。
未払い残業代の請求方法(ステップ別)
残業代が支払われていない・少ないと感じたら、以下の手順で対処しましょう。
未払い残業代の請求権は退職日(または賃金支払日)から3年で時効消滅します(2020年民法改正・労基法115条「当分の間3年」)。時効が近い場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
みなし残業(固定残業代)の注意点
固定残業代制度自体は合法ですが、以下の2条件を満たさなければ無効となります。
- 条件①:固定残業時間と金額が雇用契約書・給与明細に明示されていること
- 条件②:実際の残業時間が固定残業時間を超えた分は別途支払われること
条件を満たさない場合は全額請求できます。「残業代込み月給」「裁量労働制」等の名目でも実態が条件を満たさなければ無効です。
よくある質問
残業代の計算式は?
結論:基礎時給 × 割増率 × 残業時間数。基礎時給は「(月給 − 除外手当)÷ 月所定労働時間」で算出します。割増率は時間外(月60時間以内)が1.25倍、月60時間超が1.50倍、深夜(22〜5時)が+0.25加算、法定休日出勤が1.35倍です(労基法第37条)。
月60時間超の残業代の割増率は何倍?
結論:1.50倍(50%割増)です。2023年4月から中小企業にも適用されました。深夜(22〜5時)も重なる場合はさらに25%加算されて75%以上(1.75倍)となります。月60h以内の時間外(25%)との差額は会社が追加で払う必要があります。
厚労省・月60時間超の割増賃金率引上げ(PDF)深夜残業(22時〜翌5時)の割増率は?
結論:深夜単独は+25%加算(1.25倍)。時間外と重なれば1.50倍、休日労働と重なれば1.60倍、月60h超の時間外と重なれば1.75倍です。深夜割増(労基法37条4項)は他の割増に上乗せ加算されます。
法定休日出勤の割増率は?
結論:1.35倍(35%割増)です。深夜(22〜5時)と重なる場合はさらに25%加算されて60%以上(1.60倍)となります。所定休日(法定外休日)は時間外の1.25倍扱いで、法定休日とは区別されます。
基礎賃金から除外できる手当は?
結論:労基法施行規則21条の7種類(家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1ヶ月超の期間ごとに支払われる賃金)です。ただし名称でなく実態で判断されます。全員に同額支給される「住宅手当」「家族手当」は実態として除外不可になります。
労働基準法施行規則21条(e-Gov)月所定労働時間の計算方法は?
結論:年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12 で求めます。年間所定日数240日・1日8時間なら 240×8÷12=160時間。就業規則や雇用契約書で確認してください。法定上限は1日8時間・週40時間(労基法32条)です。
未払い残業代の時効は何年?
結論:退職日または賃金支払日から3年です(当分の間・労基法115条)。2020年4月の民法改正で旧2年から3年に延長されました。将来的に5年以上への延長が議論されていますが2026年5月時点では3年のままです。時効が近い場合は早急に行動してください。
厚労省・賃金請求権の消滅時効未払い残業代はどう請求する?
結論:証拠保全→会社への直接請求→内容証明郵便→労働基準監督署申告→弁護士依頼の順で対処します。内容証明郵便を送ると時効が一時停止(催告・6ヶ月間)します。弁護士依頼は成功報酬制(着手金0円・回収額の16〜30%)が主流で初期費用ゼロです。
ベンナビ労働問題・未払い残業代の請求方法みなし残業(固定残業代)が合法になる条件は?
結論:①固定残業時間と金額が明示されていること、②実際の残業が固定時間を超えた分は別途支払われること、の2条件を満たす必要があります。いずれかを欠く場合は無効となり全額請求できます。
付加金とは何ですか?
結論:裁判で請求できる制裁金で、未払い残業代と同額(最大2倍)です。労基法114条に定められた制裁的賠償金で、弁護士を通じた訴訟で活用することで実質最大2倍の回収が可能になります。
労働基準法114条(e-Gov)関連ページ
本ページの計算結果はあくまで概算です。実際の残業代は就業規則・雇用契約・手当の内容により異なります。正確な金額は弁護士・社会保険労務士にご確認ください。法改正により計算式が変更される場合があります。


