介護費用 兄弟分担計算シミュレーション【無料・登録不要】
年収・同居の有無・介護への関与度を入れると、3方式(均等割 / 年収比例 / 寄与度補正)の月額負担と、その負担が年収の何%になるかを並べて比べます。
最終更新:
こんな方向け:親の介護費用で兄弟と話し合いたい方、一人で負担しすぎていると感じている方、家庭裁判所の手続きを知りたい方
- 均等割・年収比例・寄与度補正の3方式で月額負担を計算(式と補正の割合はすべて公開)
- 民法877〜879条と、裁判所の扶養請求調停の手続き
- 兄弟間トラブルを防ぐ話し合いポイント7つと合意書テンプレ
ステップ1:基本情報を入力
介護費用の月額の平均は9.0万円(生命保険文化センター 2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査)。在宅5.3万円・施設13.8万円が目安です。
親自身の収入で足りない分(不足額)を、きょうだいで分ける前提で計算します。
ステップ2:兄弟ごとの情報を入力
■ 1人目(長男・長女)
■ 2人目(次男・次女)
■ 3人目(三男・三女)
計算結果:3方式 比較
方式1: 均等割
方式2: 年収比例
方式3: 寄与度補正
3方式の比較(月額・かっこ内は年間の負担が年収に占める割合)
| きょうだい | 年収 | 均等割 | 年収比例 | 寄与度補正 |
|---|---|---|---|---|
| 長男・長女 同居 / 関与高・補正50%減 | 400万円 | 6,667円 (2.0%) | 8,421円 (2.5%) | 5,333円 (1.6%) |
| 次男・次女 別居 / 関与低 | 300万円 | 6,667円 (2.7%) | 6,316円 (2.5%) | 8,000円 (3.2%) |
| 三男・三女 別居 / 関与低 | 250万円 | 6,667円 (3.2%) | 5,263円 (2.5%) | 6,667円 (3.2%) |
月額不足額 = 月額介護費用(9万円)− 親の月収入(7万円)= 20,000円/月(年間 240,000円)。一人ごとの額は1円未満を四捨五入しているため、合計が不足額と1〜2円ずれることがあります。
どの方式がよいかは家族の事情で変わるため、このツールは順位をつけません。法律に分担の計算式は無く、話し合いで決まらなければ、家庭裁判所が扶養を受ける人の需要・扶養する人の資力その他一切の事情を考えて定めます(民法879条)。
介護費用 兄弟分担の3方式とは
親の介護費用を兄弟で分ける方法として、本ツールは次の3つを計算します。法律に分担の計算式は無いため(民法879条は、話し合いで決まらないときは家庭裁判所が一切の事情を考えて定めるとしています)、どれが正しいという順位はつけず、話し合いの材料として数字を並べます。
方式1:均等割
不足額をきょうだいの人数で割る方法です。計算が分かりやすい一方、年収の差や介護への関わり方の違いは反映しません。
- 計算式: 月額不足額 ÷ きょうだいの人数
- 向いている場面: きょうだいの年収・状況がほぼ同じとき
方式2:年収比例
各人の年収の割合で不足額を分ける方法です。民法879条は、家庭裁判所が考える事情として「扶養義務者の資力」を挙げています。年収の差を数字に表す1つの方法です(家庭裁判所がこの式で決めると定められているわけではありません)。
- 計算式: 月額不足額 ×(本人の年収 ÷ きょうだいの年収の合計)
- 向いている場面: きょうだいの年収の差が大きいとき
方式3:寄与度補正(このサイトの補正)
年収比例をもとに、同居や介護への関わり方で金銭の負担を減らす方法です。親と同居して通院の付き添いや身の回りの介護をしている人は、そのぶん金銭の負担を軽くする、という考え方を数字にしたものです。
- 同居: 年収比例の負担から30%減
- 介護への関与度: 「高(週5日以上)」は20%減、「中(週2〜4日)」は10%減
- 減らす割合は合わせて最大50%。減らした後の合計が不足額になるよう、全員の額を同じ倍率で割り戻します(そのため、補正の無い人の負担はそのぶん増えます)
補正の割合(30%・20%・10%)は、このサイトが話し合いのたたき台として置いた値です。法律や裁判所が決めた基準ではありません。
結果の「年収の何%か」の出し方
計算結果のかっこ内の数字は「その人の月額負担 × 12か月 ÷ その人の年収」です。同じ月額でも年収によって重さが違うため、方式ごとに一人ひとりの負担の重さを比べられるようにしています。年収0円の人は「—」と表示します。
3つの家族で計算した例
上の計算機と同じ計算で、3つの家族を計算しました。月額の介護費用は生命保険文化センターの調査の平均(全体9.0万円・在宅5.3万円・施設13.8万円)を使っています。
例1: 3人きょうだい・長男が同居して毎日介護
月額は調査の平均9.0万円、親の年金は月7万円。月額不足額は20,000円です。
| きょうだい | 均等割 | 年収比例 | 寄与度補正 |
|---|---|---|---|
| 長男・長女(年収400万円・同居・関与高) | 6,667円(2.0%) | 8,421円(2.5%) | 5,333円(1.6%) |
| 次男・次女(年収300万円・別居・関与低) | 6,667円(2.7%) | 6,316円(2.5%) | 8,000円(3.2%) |
| 三男・三女(年収250万円・別居・関与低) | 6,667円(3.2%) | 5,263円(2.5%) | 6,667円(3.2%) |
例2: 2人きょうだい・年収が同じ・親は施設
月額は調査の施設の平均13.8万円、親の年金は月10万円。2人とも別居。月額不足額は38,000円です。
| きょうだい | 均等割 | 年収比例 | 寄与度補正 |
|---|---|---|---|
| 長男・長女(年収350万円・別居・関与低) | 19,000円(6.5%) | 19,000円(6.5%) | 20,000円(6.9%) |
| 次男・次女(年収350万円・別居・関与中) | 19,000円(6.5%) | 19,000円(6.5%) | 18,000円(6.2%) |
例3: 4人きょうだい・年収の差が大きい・在宅介護
月額は調査の在宅の平均5.3万円、親の年金は月3万円。年収0円(専業)の末子が近くで週2〜4日手伝う。月額不足額は23,000円です。
| きょうだい | 均等割 | 年収比例 | 寄与度補正 |
|---|---|---|---|
| 長男・長女(年収600万円・別居・関与低) | 5,750円(1.2%) | 10,615円(2.1%) | 10,615円(2.1%) |
| 次男・次女(年収400万円・別居・関与低) | 5,750円(1.7%) | 7,077円(2.1%) | 7,077円(2.1%) |
| 三男・三女(年収300万円・別居・関与低) | 5,750円(2.3%) | 5,308円(2.1%) | 5,308円(2.1%) |
| 四男・四女(年収0万円・別居・関与中) | 5,750円(—) | 0円(—) | 0円(—) |
※ 月額・1円未満四捨五入。かっこ内は年間の負担が年収に占める割合。例は計算の仕組みを見るためのもので、実際の家族の事例ではありません。
民法上の扶養義務と法的根拠
e-Gov法令検索「民法」第877条〜第879条親の介護費用の分担に関わる決まりは次のとおりです。
| 法律・根拠 | 内容 |
|---|---|
| 民法877条1項 | 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある |
| 民法877条2項 | 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、三親等内の親族の間でも扶養の義務を負わせることができる |
| 民法878条 | 扶養をする義務のある人が何人もいるとき、扶養をする順序について話し合いがまとまらない(またはできない)ときは、家庭裁判所が定める |
| 民法879条 | 扶養の程度・方法について話し合いがまとまらない(またはできない)ときは、扶養を受ける人の需要、扶養する人の資力その他一切の事情を考えて、家庭裁判所が定める |
| 生活扶助義務関係(生活保護の扶養の扱い) | 生活保護の扶養の調査では、夫婦の間と、親の未成熟の子(中学3年以下)に対する関係を「生活保持義務関係」、それ以外の直系血族・兄弟姉妹などの関係を「生活扶助義務関係」とし、後者の扶養の程度を「社会通念上それらの者にふさわしいと認められる程度の生活を損わない限度」としています。大人の子が親を扶養する関係は生活扶助義務関係に当たります |
※ 最後の行は民法の条文ではなく、生活保護の扶養の調査の扱いです(出典: 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」第5 扶養義務の取扱い)。
話し合いでまとまらないとき(扶養請求調停)
裁判所の案内によると、扶養請求調停では、各扶養義務者の経済状況や生活状況、扶養を受ける人の意向などを考えて話し合います。話し合いがまとまらず調停が不成立になると審判の手続きに移り、裁判官が一切の事情を考えて審判をします。申し立てられるのは扶養を受ける人(親)と扶養する側の人(きょうだい)で、扶養義務者が何人もいるときは扶養の順序を決めるための申立てもできます。費用は扶養を受ける人1人につき収入印紙1,200円分です。
裁判所「扶養請求調停」公平な分担を決める話し合いポイント7つ
法的な義務の有無とは別に、家族間の合意を円滑に進めるためのポイントを7つまとめます。
- 親の収入・資産を先に把握する: 年金額・預金・不動産等を一覧化し、月の介護費用との差額(不足額)を確認する
- 介護の「金銭」と「労力」を分けて考える: 同居して介護している人の手間をどう扱うかを先に話し合い、遠方のきょうだいが金銭を多めに負担する「分業」も選択肢にする
- 3方式を見せながら話し合う: 本ツールで3方式の計算結果を印刷・スクリーンショットして、兄弟全員で確認する
- 介護費用の記録を全員で共有する: クラウドの家計簿アプリや共有Excelに領収書・振込記録を記録し、誰でも確認できる状態にする
- 合意書を作成する: 口約束でなく「月○円を○日までに○の口座に振り込む」と書面にして、全員が署名する
- 定期的に見直す機会を設ける: 親の状態変化(要介護度の変更・施設入居等)に応じて、年1回程度の見直し機会を設定する
- 合意できない場合は第三者を活用する: 地域包括支援センターのケアマネジャー・弁護士・FP(ファイナンシャルプランナー)に入ってもらうと中立的な話し合いができる
以下の内容で合意したことを確認します。
1. 介護の対象: ○○(父/母) 2. 介護費用の月額目安: 約○万円(不足額: 約○万円) 3. 分担方式: □均等割 □年収比例 □寄与度補正 4. 各人の月額負担: - ○○(長男): 月○円(振込先口座: ○○銀行○○支店 普通○○) - ○○(次男): 月○円(同上 or 別口座) - ○○(長女): 月○円(同上) 5. 振込日: 毎月○日まで 6. 見直し時期: 毎年○月 7. 合意日: ○年○月○日 署名: 各自
兄弟間トラブル事例と回避策
起こりやすいトラブルの型と、その回避策です。
| トラブルパターン | 原因 | 回避策 |
|---|---|---|
| 同居長男・長女が全額負担している | 費用の透明性不足・遠方兄弟への伝達不足 | 毎月の費用を共有スプレッドシートで見える化。本ツールで分担額を提示する |
| 「お金は出さないが口は出す」問題 | 介護への関与度と金銭負担のアンバランス | 介護への関わり方と金銭の負担をどう組み合わせるかを合意書に書く。寄与度補正方式の数字を話し合いの材料にする |
| 「うちは子どもにお金がかかる」で逃げる | 生活状況の違いを正確に共有していない | 年収比例方式で収入に応じた額と、年収に占める割合を示す。家庭裁判所が定めるときも扶養する人の資力は考える事情に入る(民法879条) |
| 相続時に「介護した分を余分に遺産からもらいたい」と主張 | 介護の貢献が事前に評価されていない | 民法904条の2の「寄与分」(療養看護などで親の財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人の取り分)がある。介護日誌・領収書を記録し、生前に書面で評価を合意しておく |
| 親の預金から勝手に引き出す兄弟問題 | 管理者が不透明・介護費用の使途が見えない | 家族信託や後見制度の活用。収支を全員閲覧可能な共同口座または家族カードで管理 |
FP相談・弁護士相談 タイミング判断
以下のチェックリストに1つでも当てはまる場合は、早めに専門家へ相談することを強くお勧めします。
弁護士への相談が必要なケース
- 兄弟間で費用分担の合意がまったく取れない
- 一人が費用を立替えており、他の兄弟が支払いを拒否している
- 家庭裁判所への扶養請求調停の申立てを検討している
- 相続・遺産分割と介護費用の問題が絡み合っている
- 親の認知症が進み、財産管理について争いがある
FP(ファイナンシャルプランナー)への相談が必要なケース
- 介護費用の総額・期間のシミュレーションを作りたい
- 自分の老後資金と親の介護費用のバランスを考えたい
- 介護保険の利用方法・高額介護サービス費の申請方法を知りたい
- 兄弟間の分担合意後に長期資金計画を作成したい
- 家族信託・後見制度の活用を検討している
| 専門家 | 強み | 費用 |
|---|---|---|
| 弁護士 | 法的根拠に基づく主張・調停の代理・合意書作成 | 事務所ごとに異なる(申込み前に確認) |
| FP(ファイナンシャルプランナー) | 介護費用シミュレーション・老後資金計画・保険見直し | 相談先ごとに異なる(申込み前に確認) |
| ケアマネジャー(地域包括支援センター) | 介護保険サービスの相談・申請の手伝い | 市区町村の窓口に確認 |
よくある質問(FAQ)
親の介護費用を子どもが負担する法的義務はありますか?
民法877条1項で、子(直系血族)は親を扶養する義務があります。どの程度・どの方法で扶養するかは、話し合いで決まらなければ、扶養を受ける人の需要と扶養する人の資力その他一切の事情を考えて家庭裁判所が定めます(民法879条)。生活保護の扶養の調査では、子が親を扶養する関係は「生活扶助義務関係」とされ、その程度は扶養する人が社会通念上ふさわしい生活を損わない限度とされています(厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領」)。
兄弟で介護費用を均等に分担しなければなりませんか?
均等に分ける決まりはありません。民法には分担の計算式が無く、話し合いで決まらなければ家庭裁判所が一切の事情を考えて定めます(民法879条)。裁判所の扶養請求調停では、各扶養義務者の経済状況や生活状況、扶養を受ける人の意向などを考えて話し合います。
同居している兄弟は介護費用の負担が少なくなりますか?
同居して介護している事情も、話し合いや調停で考える「生活状況」の1つです。ただし、同居をどれだけ金銭の負担から差し引くかを決めた法律の基準はありません。本ツールの寄与度補正方式は、同居で30%、介護への関与が高いと20%・中程度で10%(合わせて最大50%)を年収比例の負担から差し引き、合計が不足額になるよう割り戻す、このサイトの補正です。
兄弟間で介護費用の分担に合意できない場合はどうしますか?
家庭裁判所に扶養請求調停を申し立てることができます。扶養を受ける人(親)だけでなく、扶養する側の人(きょうだい)も申し立てられます。調停で話がまとまらず不成立になると審判に移り、裁判官が一切の事情を考えて審判をします。申立ての費用は、扶養を受ける人1人につき収入印紙1,200円分です(裁判所「扶養請求調停」)。
介護費用の平均はいくらですか?
生命保険文化センターの2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査では、介護費用の月額は平均9.0万円です。在宅で5.3万円、施設で13.8万円です。一時的な費用は平均47.2万円、介護期間は平均55.0カ月(4年7カ月)です。調査は総額を出していませんが、平均どうしを掛け合わせると 47.2万円+9.0万円×55.0カ月=約542.2万円 になります(このサイトの計算)。
年収が低い兄弟は介護費用を払わなくてもよいですか?
収入が少ない人の負担は小さくなり得ますが、払わなくてよいと決まった基準はありません。家庭裁判所が定めるときは、扶養する人の資力が考える事情に入ります(民法879条)。本ツールの年収比例方式では、年収が少ない人ほど負担が小さくなり、年収0円の人は0円になります。
介護費用の立替えを後から兄弟に請求できますか?
立て替えている人は、他のきょうだいを相手に扶養請求調停を申し立てる方法があります。裁判所の案内でも、扶養義務者が他の扶養義務者を相手方として申し立てる場合の書類が示されています。過去の分をどこまでさかのぼって分担させるかは事情によって判断が分かれるため、弁護士に相談してください。領収書・振込の記録・介護の記録を残しておくと、話し合いでも調停でも説明しやすくなります。
父母のどちらかが先に亡くなった場合、残った親の介護費用分担はどう変わりますか?
扶養の義務の決まりは変わりませんが、残った親の収入が変わるので不足額を計算し直します。遺族年金を受け取るか、相続した預貯金があるかで親の月収入が変わります。本ツールに新しい月収入を入れると、不足額と3方式の負担を計算し直せます。
生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」(2024(令和6)年度調査)関連ツール・内部リンク
本ツールの計算結果は参考値であり、法的拘束力はありません。実際の扶養の程度・方法は、話し合いで決まらなければ家庭裁判所が一切の事情を考えて定めます。具体的な法的判断は弁護士に、資金計画はFP(ファイナンシャルプランナー)にご相談ください。