年収の壁2026年版|160万円から178万円へ何が変わった?改正ポイントと手取り比較
最終更新: 2026年10月10日(国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」2026-08-31確認 / 令和7年法律第74号・厚生労働省 社会保険適用拡大 Q&A 2026-10-03確認)
本ページは以前「178万円は成立しなかった政治目標値」と記載していましたが、これは誤りでした。 令和8年度税制改正は成立し、令和8年分(2026年分)以後の所得税に178万円の壁が適用されています。 誤記の原因は、令和7年度改正時点のまま更新されていない国税庁タックスアンサー(No.1199・No.1410)だけを根拠にしたことです。 現在は国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」および財務省「令和8年度税制改正の大綱」で全数値を突合しています。
このページでわかること
- 所得税の年収の壁:103万 → 160万(令和7年分)→ 178万円(令和8・9年分) → 168万円(令和10年分以後)
- 106万円の壁(月収賃金要件):2026年10月1日に撤廃済み(令和7年法律第74号)
- 130万円の壁(被扶養ライン)は変更なし。住民税の壁は令和8年度分 110万円 → 令和9年度分(2026年の所得)から 119万円
- 扶養に入れる側の所得上限は 給与123万円 → 136万円 に拡大(令和8年分〜)
- 各壁の手取りへの影響・計算ツールへの導線
令和8年分(2026年分)から、所得税がかかり始める「年収の壁」は178万円になりました。 令和6年分以前の103万円 → 令和7年分の160万円 → 令和8・9年分の178万円と、2段階で引き上げられたものです。 さらに106万円の壁(月収8.8万円の賃金要件)は2026年10月1日に撤廃されました。 このページでは手取りへの影響・扶養への影響・他の壁との関係を、公式一次ソースで整理します。
160万円の壁から178万円の壁へ|何が変わったか
令和7年分(2025年分)の160万円の壁は、給与所得控除の最低保障額65万円+基礎控除の最大額95万円です。 令和8年分(2026年分)はそれぞれ74万円と104万円に引き上げられ、合計の178万円が所得税のかからない給与収入の上限になりました。 差の18万円は、給与所得控除の引き上げ9万円と基礎控除の引き上げ9万円の合計です。 160万円は令和7年分(2025年1月〜12月の収入)の壁で、令和8年分(2026年1月〜12月の収入)には178万円が使われます。
| 控除の種類 | 令和6年分以前 | 令和7年分 | 令和8・9年分 | 令和10年分以後 |
|---|---|---|---|---|
| 基礎控除(最大) | 48万円 | 95万円 | 104万円 | 99万円 |
| 給与所得控除(最低保障額) | 55万円 | 65万円 | 74万円 | 69万円 |
| 所得税の年収の壁 | 103万円 | 160万円 | 178万円 | 168万円 |
※ 基礎控除の最大額が使える合計所得は、令和7年分と令和10年分以後が132万円以下、令和8・9年分は489万円以下です。給与所得控除の最低保障額は、令和7年分が給与収入190万円以下、令和8・9年分が220万円以下に使われます。表の数字は計算ナビの計算部品(年分テーブル)から出しています。
年収別の所得税の比較(令和7年分と令和8年分)
160万円から178万円へ上がった分、年収別の所得税はどう変わるかです。社会保険料・住民税は含まない、所得税単体の概算値です (復興特別所得税2.1%込み・扶養なし単身・社会保険料控除なしで、本サイトの計算ライブラリで算出)。
| 年収 | 令和6年分以前 | 令和7年分 | 令和8・9年分 | 差額(令和6年分以前→令和8年分) |
|---|---|---|---|---|
| 103万円 | 0円 | 0円 | 0円 | ±0円 |
| 120万円 | 約8,600円 | 0円 | 0円 | ▲8,600円 |
| 150万円 | 約23,900円 | 0円 | 0円 | ▲23,900円 |
| 160万円 | 約29,000円 | 0円 | 0円 | ▲29,000円 |
| 178万円 | 約35,100円 | 約9,100円 | 0円 | ▲35,100円 |
| 200万円 | 約42,800円 | 約18,800円 | 約11,200円 | ▲31,600円 |
178万円のうち、給与所得控除の特例5万円と基礎控除の加算42万円は令和8年分・令和9年分限りの措置だからです。 令和10年分以後は給与所得控除が本則69万円、基礎控除の加算が37万円(合計所得132万円以下)となり、壁は168万円になります。増税ではなく「2年間の上乗せが終わる」という意味です。
扶養に入れる範囲(配偶者控除・社会保険の扶養など)を壁ごとに並べた早見は扶養内シミュレーターに、年収を入れて手取りを比べるなら178万円付近の手取り比較シミュレーターにあります。
2026年の「年収の壁」改正まとめ(結論ファースト)
| 壁の種類 | 施行時期 | 変更内容 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 所得税の壁 178万円 | 令和8年分〜(2026年1月〜) | 160万円 → 178万円(令和6年分以前は103万円) | 令和8年度税制改正 |
| 扶養親族等の所得要件 | 令和8年分〜(2026年1月〜) | 合計所得58万→62万円以下(給与123万→136万円) | 令和8年度税制改正 |
| 106万円の壁 撤廃 | 2026年10月1日〜(施行済み) | 月収8.8万円の要件を撤廃。厚生年金の被保険者51人以上の会社で週20時間以上なら年収に関係なく加入 | 令和7年法律第74号 |
| 住民税の壁 | 令和9年度分(2026年の所得)から変わる | 住民税の非課税ライン(単身・給与のみ・標準)は、令和8年度分(2025年の所得)が年収110万円、令和9年度分(2026年の所得)から119万円(自治体差あり)。住民税の基礎控除43万円は変わらず、給与所得控除が所得税と同じ74万円になるため | — |
| 130万円の壁 | 変更なし | 130万円のまま(被扶養ライン) | — |
もう1つの改正: 106万円の壁 月収賃金要件が2026年10月に撤廃
令和7年法律第74号(社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律)に基づき、 月収8.8万円以上という賃金要件は2026年10月1日に撤廃されました(厚生労働省 2026-10-03確認)。
撤廃の背景
厚生労働省は、最低賃金が時給1,016円以上になると、週20時間働くだけで月8.8万円以上になり、賃金要件に実質的な意味がなくなるため、最低賃金の動向をふまえて撤廃する、と説明しています(厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第9 被用者保険の適用拡大」2026-10-03確認)。
撤廃後の加入要件(2026年10月〜)
| 要件 | 変更 |
|---|---|
| 企業規模:厚生年金の被保険者51人以上 | 変わらず。法律で日程が決まっている(2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上、2035年10月に人数の要件なし) |
| 月収:8.8万円以上 | 撤廃(2026年10月1日) |
| 週所定労働時間:20時間以上 | 維持 |
| 雇用期間:2ヶ月超の見込み | 維持 |
| 学生除外 | 維持 |
撤廃後の手取りへの影響
週20時間以上で働いて勤務先の社会保険に入った年収106万円の人の場合、社会保険料(本人負担)は年155,148円、手取りは約90.5万円です。 週20時間未満で扶養のままなら手取りは約106.0万円なので、加入して同じ手取りに戻すには年収約124.9万円が必要です。
| 状況(年収106万円) | 社会保険料(本人・年) | 手取り(年) |
|---|---|---|
| 週20時間未満・扶養のまま | 0円 | 約106.0万円 |
| 週20時間以上・勤務先の社会保険に加入 | 155,148円 | 約90.5万円 |
| 加入して上と同じ手取りにするには | 年収約124.9万円 | |
※ 計算ナビの年収の壁シミュレーターと同じ計算式での概算です(所得税は令和8年分、住民税はその所得にかかる令和9年度分、扶養する家族なし)。社会保険料は協会けんぽ・東京都(令和8年度 9.85%)・40歳未満・賞与なし(年収÷12を毎月の報酬とみなす)で、標準報酬月額の等級表から計算しています(厚生年金は標準報酬月額65万円で頭打ち)。都道府県ごとの料率の違い・40歳以上の介護保険料は入れていません。
加入すると、将来の厚生年金が増えます(標準報酬月額88,000円で1年加入すると、65歳から年約5,800円の目安)。病気やけがで休んだときの傷病手当金、産休中の出産手当金も受けられます。 年収別の表と、手取りを戻すのに必要な年収の一覧は106万円の壁 詳細ガイドにあります。
扶養への影響
控除額は変わらないが「扶養に入れる収入の上限」は上がった
控除額自体は変わりません。変わるのは「本人がいくらまで稼いでも所得税がゼロか」という上限ラインと、 「扶養される側がいくらまで稼いでも扶養に入れるか」という所得要件です。
- 扶養控除: 38万円(変更なし)
- 配偶者控除: 38万円(変更なし)
- 特定扶養控除(19〜22歳): 63万円(変更なし)
一方、扶養親族・同一生計配偶者の所得要件は令和8年分から引き上げられました。
| 要件 | 令和7年分 | 令和8年分以後 |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者の合計所得 | 58万円以下 (給与収入123万円) | 62万円以下 (給与収入136万円) |
| 勤労学生控除の合計所得 | 85万円以下 (給与収入150万円) | 89万円以下 (給与収入163万円) |
| 配偶者特別控除の対象となる合計所得 | 58万円超133万円以下 | 62万円超133万円以下 |
※ 配偶者特別控除額・特定親族特別控除額の控除額と各段の上限は合計所得ベースなので改正されていません。変わったのは、始まりが合計所得58万円超から62万円超になったことと、給与収入への換算です。
年収の壁の種類と改正後の変化一覧
| 壁の種類 | 制度 | 令和6年分まで | 令和7年分〜 / 2026年10月〜 |
|---|---|---|---|
| 所得税の壁 | 所得税 | 103万円 | 令和7年分 160万円(65万+95万) 令和8・9年分 178万円(74万+104万) 令和10年分以後 168万円(69万+99万) |
| 住民税の壁 | 個人住民税 | 令和8年度分(2025年の所得)110万円(自治体差あり) | 令和9年度分(2026年の所得)から119万円(給与所得控除が74万円になる。基礎控除43万円は変わらず) |
| 106万円の壁 | 社会保険(規模の要件を満たす会社) | 月収8.8万円以上(2026年9月まで) | 2026年10月1日に月収要件撤廃(厚生年金の被保険者51人以上の会社で週20時間以上なら加入) |
| 130万円の壁 | 社会保険(一般) | 130万円 | 変更なし |
所得税の壁が178万円になり、106万円の月収要件が撤廃されても、 社会保険の被扶養ライン(130万円)はそのままです。 年収130万円以上になると配偶者の扶養から外れ、自分で健康保険・年金に加入する必要があります。 手取りへの影響は所得税より社会保険料のほうが大きいので、実務上は130万円の壁のほうが重要です。
令和8年11月までの毎月の手取りは変わらない
令和8年度税制改正は成立・適用されていますが、国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」は 令和8年11月までの給与等および公的年金等の源泉徴収事務に変更は生じませんと明記しています。 毎月の給与から引かれる源泉徴収税額は当面そのままで、差額は令和8年12月の年末調整(または確定申告)で精算されます。
年税額そのものは令和8年分から新しい基準(基礎控除104万円・給与所得控除74万円・壁178万円)で計算されます。 「毎月の手取りが増えていないから改正されていない」というのは誤解です。
よくある質問
2026年から年収の壁はどう変わりましたか?
所得税の年収の壁が178万円になりました(令和8年分〜)。令和6年分以前の103万円、令和7年分の160万円から2段階で引き上げられたものです。 さらに106万円の壁(月収8.8万円の賃金要件)は2026年10月1日に撤廃されました(令和7年法律第74号)。 130万円の壁(被扶養)は変わっていません。住民税の基礎控除43万円も変わりませんが、住民税の給与所得控除は所得税と同じ額なので、令和9年度分(2026年の所得)から74万円になります。
106万円の壁はいつ撤廃されましたか?
結論:2026年10月1日に撤廃されました(施行期日は政令で2026年10月1日と定められました)(令和7年法律第74号)。削除されたのは月収8.8万円以上という賃金要件です。勤務先の厚生年金の被保険者が51人以上の会社では、週20時間以上・2か月を超える雇用見込み・学生でない、の3つを満たすと、年収に関係なく本人が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入します(厚生労働省 社会保険適用拡大 Q&A 2026-10-03確認)。
詳しくは106万円の壁 詳細ガイドをご覧ください。
178万円の壁は成立したのですか?
成立しています。令和8年度税制改正により、基礎控除の最大額が104万円・給与所得控除の最低保障額が74万円となり、合計178万円が所得税のかからない給与年収の上限になりました。適用は令和8年分(2026年分)以後です。 詳しくは178万円の壁とは(令和8年分以後の所得税の壁)をご覧ください。
178万円まで稼いでも税金はゼロになる?
所得税はゼロになります(令和8年分)。ただし個人住民税は別で、住民税の非課税ライン(単身・給与のみ・標準)は、令和8年度分(2025年の所得)が年収110万円、令和9年度分(2026年の所得)から119万円です(自治体差あり)。社会保険は、勤務先の規模と週の労働時間(20時間以上か)で加入が決まり、扶養の130万円の基準とは別の仕組みです(106万円の賃金要件は2026年10月1日に撤廃)。「178万円まで税金ゼロ」は所得税のみの話です。
改正はいつの所得から適用されますか?
178万円の壁は令和8年分(2026年1月1日以降に得た所得)から適用されています。令和7年分は160万円、令和6年分以前は103万円でした。 なお令和8年11月までの源泉徴収事務に変更はなく、差額は令和8年12月の年末調整または確定申告で精算されます。
社会保険の130万円の壁は変わりますか?
130万円の壁は変更なしです。所得税の壁(178万円)と社会保険の壁(130万円)は別制度です。
扶養に入れる収入の上限も変わりましたか?
変わりました。扶養親族・同一生計配偶者の合計所得要件が58万円以下から62万円以下になり、給与収入に換算すると123万円から136万円に拡大しました(令和8年分〜)。 勤労学生控除も合計所得85万円以下から89万円以下(給与収入150万円→163万円)になっています。
扶養控除・配偶者控除の金額も変わりますか?
結論:控除額自体は変わりません。扶養控除38万円、配偶者控除38万円、特定扶養控除63万円などは据え置きです。ただし「扶養に入れる側の所得の上限」は令和8年分から引き上げられました。同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額要件は58万円以下から62万円以下になり、給与収入に換算すると123万円から136万円になります。勤労学生控除の所得要件も合計所得85万円以下から89万円以下(給与収入150万円から163万円)に引き上げられています。
公式ソース
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」 — 改正は成立し令和8年分以後の所得税に適用(令和8年11月までの源泉徴収事務に変更なし/2026-10-06確認)
- 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」(PDF) — 令和8年度税制改正の一次ソース(2026-08-31確認)
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(PDF)(2026-08-31確認)
- 財務省 令和7年度税制改正の大綱 — 令和7年分(160万円)の根拠
- 厚生労働省 社会保険適用拡大 Q&A(賃金要件は「2026年10月に撤廃されました」・2026-10-03確認)
- 厚生労働省 年金制度の仕組みと考え方 第9 被用者保険の適用拡大(撤廃の理由・2026-10-03確認)
- 厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
- 厚生労働省 「年収の壁」への対応
関連ツール・記事
- ▶ 年収の壁シミュレーター(年収を入力して手取りを計算)
- 106万円の壁 詳細ガイド(2026年10月撤廃・手取り変化)
- 130万円の壁(社会保険・被扶養ライン)
- 178万円付近の手取り比較シミュレーター
- 大学生の年収の壁シミュレーター
- 178万円の壁とは(令和8年分以後の所得税の壁)
- 103万円の壁とは(令和6年分以前の旧基準)
- 令和7・8年度税制改正タイムライン
- 2026年 税制・社会保険 制度改正まとめ
- パートの社会保険手続きガイド
本ページの数値は国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」・財務省「令和8年度税制改正の大綱」(いずれも2026-08-31確認)・国税庁No.2260・令和7年法律第74号と厚生労働省 社会保険適用拡大 Q&A(2026-10-03確認)に基づく概算です。 なお国税庁タックスアンサー No.1199・No.1410 は確認時点で令和7年度改正時点の内容のままだったため、所得税の中核数値の根拠には使用していません。 実際の税額・保険料は所得控除・標準報酬月額・保険者の状況によって異なります。 個別の税務判断・申告については税理士または最寄りの税務署に、社会保険については年金事務所にご相談ください。