106万円の壁とは?2026年10月撤廃後の手取り変化を解説
最終更新: 2026年10月10日(令和7年法律第74号・厚生労働省 社会保険適用拡大 Q&A 2026-10-03確認)
このページでわかること
- 106万円の壁(月収8.8万円の要件)がなくなったあと、社会保険の加入は何で決まるか
- 会社の規模の要件の日程(2027年10月以降)
- 週20時間以上で加入したときの保険料と手取り、手取りを戻すのに必要な年収
- 130万円の壁(扶養から外れるライン)との違い
106万円の壁(月額賃金8.8万円の要件)は2026年10月1日に撤廃され、いまはありません。 勤務先の厚生年金の被保険者が51人以上の会社では、週20時間以上・2か月を超える雇用見込み・学生でない、の3つを満たすと、年収に関係なく本人が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入します。
配偶者などの扶養から外れる130万円の基準(被扶養者の認定。配偶者以外の19歳以上23歳未満は150万円)は変わっていません。
あなたの場合はどうなる?
| 働き方 | 社会保険 |
|---|---|
| ① 勤務先の厚生年金の被保険者が51人以上の会社で、週20時間以上 | 年収に関係なく勤務先の社会保険に加入(配偶者の扶養からは外れる) |
| ② ①と同じ会社で、週20時間未満 | 加入しない。年収130万円以上で扶養を外れる |
| ③ それより人数が少ない会社(労使合意で任意に加入している会社を除く) | いまは加入しない。年収130万円以上で扶養を外れる。対象になる時期は下の日程の表 |
| ④ 昼間の学生(夜間・定時制・通信制・休学中を除く) | 加入しない(扶養の基準は別) |
※ 正社員の所定労働時間・日数の4分の3以上働く人は、上の表に関係なく、会社の規模を問わず加入します。 2か月以内の契約で、それを超えて働く見込みがない人は加入しません。
1. 106万円の壁の正確な定義(2026年9月末まで)
「年収106万円」は呼び名で、基準は月額賃金8.8万円でした(8.8万円×12か月=105.6万円)。 2026年9月までは、次の条件をすべて満たすと社会保険に加入する決まりでした。
| 要件 | 内容(2026年9月まで) |
|---|---|
| 企業規模 | 厚生年金の被保険者51人以上(2024年10月から) |
| 月収(賃金要件) | 月額賃金8.8万円以上(2026年10月1日撤廃済み) |
| 労働時間 | 週の所定労働時間20時間以上 |
| 雇用期間 | 2か月を超える雇用見込み |
| 学生除外 | 昼間の学生でないこと |
2. 2026年10月1日に何が変わったか
令和7年法律第74号(社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律)により、 月額賃金8.8万円以上という賃金要件は2026年10月1日に廃止されました(厚生労働省 社会保険適用拡大 Q&A 2026-10-03確認)。 厚生年金保険法12条5号から「8万8千円未満」の文が削られ、短時間労働者が加入しないのは「週20時間未満」と「学生」の場合だけになりました。
撤廃後の加入の要件(2026年10月〜)
| 要件 | 内容 | 2026年10月1日の改正 |
|---|---|---|
| 企業規模 | 厚生年金の被保険者51人以上 | 変わらず。引き下げの日程は下の表(法律で決定済み) |
| 月収(賃金要件) | なし(2026年9月までは月額8.8万円以上) | 撤廃 |
| 労働時間 | 週の所定労働時間20時間以上 | 変わらず |
| 雇用期間 | 2か月を超える雇用見込み | 変わらず |
| 学生除外 | 昼間の学生でないこと | 変わらず |
※ 最低賃金の減額特例(最低賃金法7条)を受けて働く人で月額賃金が8.8万円未満の人は、当分の間、加入しません。本人が申し出れば加入できます(厚生年金保険法 附則4条の6・健康保険法 附則8条の3の2)。
厚生労働省は、最低賃金が時給1,016円以上になると、週20時間働くだけで月8.8万円以上になり、賃金要件に実質的な意味がなくなるため、最低賃金の動向をふまえて撤廃する、と説明しています(厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第9 被用者保険の適用拡大」2026-10-03確認)。
企業規模の要件の日程(法律で決定済み)
| 時期 | 対象になる会社(厚生年金の被保険者の数) | 状態 |
|---|---|---|
| 2024年10月〜 | 51人以上 | 施行済み |
| 2026年10月1日 | (月額賃金8.8万円の要件を撤廃) | 2026年10月1日に撤廃済み |
| 2027年10月〜 | 36人以上 | 法律で決定済み(2027年10月から36人以上の会社が対象になります) |
| 2029年10月〜 | 21人以上 | 法律で決定済み(2029年10月から21人以上の会社が対象になります) |
| 2032年10月〜 | 11人以上 | 法律で決定済み(2032年10月から11人以上の会社が対象になります) |
| 2035年10月〜 | 人数の要件なし | 法律で決定済み(2035年10月に人数の要件が撤廃されます) |
出典: 令和7年法律第74号 附則22条、厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」、日本年金機構(いずれも2026-10-03確認)。 日程を待たずに、労使で合意して任意に加入することもできます。
3. 社会保険に加入すると手取りはどう変わるか
週20時間以上で働いて勤務先の社会保険に入った場合と、週20時間未満で扶養のままの場合の手取りを、同じ年収で比べました。 数字は、このサイトの年収の壁シミュレーターと同じ計算式でページを作るたびに出し直しています。
| 年収(月額の目安) | 社会保険料(本人・年) | 所得税+住民税(加入した場合・年) | 手取り(加入した場合) | 手取り(週20時間未満で加入しない場合) | 差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 90.0万円(月約7.5万円) | 148,296円 | 0円 | 約75.2万円 | 約90.0万円 | ▲148,296円 |
| 100.0万円(月約8.3万円) | 154,848円 | 0円 | 約84.5万円 | 約100.0万円 | ▲154,848円 |
| 106.0万円(月約8.8万円) | 155,148円 | 0円 | 約90.5万円 | 約106.0万円 | ▲155,148円 |
| 120.0万円(月約10.0万円) | 172,872円 | 5,000円 | 約102.2万円 | 約119.4万円 | ▲171,372円 |
| 129.0万円(月約10.8万円) | 193,740円 | 5,000円 | 約109.1万円 | 約127.6万円 | ▲184,240円 |
年収の壁シミュレーターと同じ計算式です。所得税は令和8年分、住民税はその所得にかかる令和9年度分(扶養する家族なし)。住民税は同じ年収が続いたときの年額です。 社会保険料は協会けんぽ・東京都(令和8年度 9.85%)・40歳未満・賞与なし(年収÷12を毎月の報酬とみなす)で、標準報酬月額の等級表から計算しています(厚生年金は標準報酬月額65万円で頭打ち)。都道府県ごとの健康保険料率の違い、40歳以上の介護保険料は入れていません。 配偶者の税金や、会社の家族手当の変化も入れていません。
実際の保険料は標準報酬月額の等級で決まります。厚生年金の標準報酬月額は一番下の1級でも88,000円なので、月収がそれより少なくても88,000円として計算されます。 このため月収が低い人は、上の概算より実際の保険料が高くなることがあります。月々の正確な額は社会保険料計算ツール(都道府県別)で確かめられます。
週20時間を超えて加入したら、手取りを戻すにはいくら働けばいいか
週20時間未満で扶養のまま働いていた人が、週20時間以上にして社会保険に入ると、同じ年収では手取りが減ります。 加入する前と同じ手取りにするのに必要な年収は次のとおりです(上と同じ計算式・1,000円単位)。
| 週20時間未満で扶養のときの年収 | そのときの手取り | 加入して同じ手取りにするのに必要な年収 | 増やす年収 |
|---|---|---|---|
| 90.0万円 | 約90.0万円 | 約105.6万円 | 約15.6万円 |
| 100.0万円 | 約100.0万円 | 約117.3万円 | 約17.3万円 |
| 106.0万円 | 約106.0万円 | 約124.9万円 | 約18.9万円 |
| 120.0万円 | 約119.4万円 | 約140.8万円 | 約20.8万円 |
| 129.0万円 | 約127.6万円 | 約151.2万円 | 約22.2万円 |
たとえば週20時間未満で年収100万円だった人は、加入したあと年収約117.3万円(約17.3万円多く)働くと、手取りが元に戻ります。
2026年10月からは、新しく加入の対象になった短時間労働者の本人負担を、事業主が3年間軽くできる制度(保険料調整制度)も始まりました。 対象は、2026年10月以後に労使合意で任意に適用した会社や、2027年10月以後の企業規模の引下げで新たに対象になる会社などで、すでに51人以上で対象だった会社は使えません。 上の表はこの制度を使わない場合の数字です(日本年金機構「保険料調整制度」2026-10-03確認)。
社会保険に加入するメリット
- 将来の年金が増える: 厚生年金の報酬比例部分が上乗せされます。標準報酬月額88,000円で1年加入すると、65歳からの老齢厚生年金が年約5,800円増える目安です(88,000円×5.481/1000×12か月。10年なら年約58,000円)。基礎年金は扶養(第3号)のときも加入期間に入るので、増えるのは厚生年金の分です。
- 傷病手当金: 病気やけがで連続して3日休んだあと、4日目から、標準報酬日額の3分の2が通算1年6か月まで出ます。
- 出産手当金: 産休中(産前42日・産後56日)に、標準報酬日額の3分の2が出ます。
- 家族を扶養に入れられる: 条件を満たす配偶者や子を自分の健康保険の扶養に入れても、保険料は増えません。
4. 106万円の壁と130万円の壁の違い
| 項目 | 106万円の壁 | 130万円の壁 |
|---|---|---|
| 何の線か | 本人が勤務先の健康保険・厚生年金に入る線 | 配偶者などの扶養(健康保険の被扶養者・国民年金の第3号)から外れる線 |
| 対象 | 2026年9月までは厚生年金の被保険者51人以上の会社 | 会社の規模に関係なく、扶養に入っている人 |
| 超えたあと | 勤務先の健康保険・厚生年金に加入 | 勤務先の社会保険の対象でなければ、国民健康保険・国民年金に加入 |
| 2026年10月以降 | 撤廃(いまは無い) | 変更なし |
| 年収ライン | なし(2026年9月までは月収8.8万円) | 年収見込み130万円以上(配偶者以外の19歳以上23歳未満は150万円以上) |
106万円の壁が撤廃されても、130万円の壁は変わりません。 勤務先の社会保険の対象でない人は、年収130万円未満なら配偶者の扶養(健康保険の被扶養者・国民年金の第3号)のまま、130万円以上で扶養を外れて国民健康保険・国民年金に入ります。
5. 2026年10月撤廃後の「働き方の変化」早見表
「規模の要件を満たす会社」は、厚生年金の被保険者が51人以上の会社です。「2026年9月末まで」の列は51人以上の会社で判定しています。
| 勤務先 | 週の労働時間・月収 | 2026年9月末まで | 2026年10月以降 |
|---|---|---|---|
| 規模の要件を満たす会社 | 20時間以上・月収8.8万円以上 | 加入 | 加入 |
| 規模の要件を満たす会社 | 20時間以上・月収8.8万円未満 | 加入しない | 加入(賃金要件の撤廃) |
| 規模の要件を満たす会社 | 20時間未満 | 加入しない | 加入しない(労働時間の要件は変わらず) |
| それより人数が少ない会社 | 20時間以上 | 加入しない(130万円以上で扶養を外れる) | 加入しない(130万円以上で扶養を外れる)。2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上、2035年10月に人数の要件なし |
6. よくある質問
Q. 106万円の壁はいつ撤廃されましたか?
2026年10月1日に撤廃されました(施行期日は政令で2026年10月1日と定められました)。根拠は令和7年法律第74号で、なくなったのは月額賃金8.8万円以上という要件だけです。勤務先の厚生年金の被保険者が51人以上の会社では、週20時間以上・2か月を超える雇用見込み・学生でない、の3つを満たすと、年収に関係なく本人が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入します(厚生労働省 社会保険適用拡大 Q&A 2026-10-03確認)。
Q. 撤廃後、手取りはどう変わりますか?
週20時間以上で働いて勤務先の社会保険に入ると、年収106万円の人の社会保険料は年155,148円、手取りは約90.5万円です(計算ナビの概算)。週20時間未満で扶養のままの年収106万円なら手取りは約106.0万円なので、加入して同じ手取りに戻すには年収約124.9万円が必要です。一方で、将来の厚生年金が増え、病気やけがで休んだときの傷病手当金や出産手当金も受けられます。
Q. 撤廃後も会社の規模の要件は残りますか?
2026年10月1日に撤廃されたのは月収8.8万円の要件だけです。企業規模の要件は法律で日程が決まっています。2027年9月までは51人以上、2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上で、2035年10月に人数の要件はなくなります(人数は厚生年金の被保険者の数)(厚生労働省・日本年金機構 2026-10-03確認)。
Q. 106万円の壁と130万円の壁の違いは何ですか?
106万円の壁は、2026年9月まで、本人が勤務先の健康保険・厚生年金に入るかどうかを決めていた月収8.8万円(年収約106万円)のラインでした。2026年10月1日に撤廃され、いまは週20時間などの要件で加入が決まります。130万円の壁は、配偶者などの扶養(健康保険の被扶養者・国民年金の第3号)から外れるラインで、変わっていません。
Q. 106万円の壁と130万円の壁、どちらが先に問題になりますか?
2026年10月以降、厚生年金の被保険者が51人以上の会社では週20時間以上なら年収に関係なく加入するため、先に問題になるのは労働時間です。それより人数が少ない会社で働く人や週20時間未満の人は、扶養を外れる130万円の壁が先に来ます。
Q. 週20時間未満で働けば、撤廃後も社会保険に加入しなくていい?
はい。週の所定労働時間が20時間未満なら、会社の規模に関係なく、勤務先の社会保険には加入しません。ただし年収が130万円以上(見込み)になると配偶者の扶養から外れ、国民健康保険と国民年金に自分で入ります。
公式ソース
- 厚生労働省 社会保険適用拡大 Q&A(賃金要件は「2026年10月に撤廃されました」・2026-10-03確認)
- e-Gov法令検索 厚生年金保険法(12条5号・附則4条の6。2026年10月1日施行の版・2026-10-03確認)
- 日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(企業規模の日程・2026-10-03確認)
- 厚生労働省 年金制度の仕組みと考え方 第9 被用者保険の適用拡大(撤廃の理由・2026-10-03確認)
- 厚生労働省 「年収の壁」への対応(130万円の基準)
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制度の説明は令和7年法律第74号・厚生年金保険法・厚生労働省・日本年金機構の公表情報(2026-10-03確認)に基づきます。手取りの数字は概算です。 社会保険料の実際の金額は標準報酬月額・加入している健康保険によって異なります。 加入するかどうかの判定や手続きは、お勤め先または最寄りの年金事務所にご相談ください。